◉◉ XXX Residents ◉◉ SonarSound Tokyo 2012 出演後記


SonarSound Tokyo 2012の出演者は基本UKよりのアーティストが多く、最近流行のブレイクビーツ系やダブステ&DnBやプログレ絡みの音が多かったのではないか。そんな中XXX Residentsは極Deep&Minimalをベースに、ドローンやノイズ、ダブステップ等のベースミュージックは勿論、プログレッシヴ要素もふんだんに取り入れた最速grooveを提示出来たと思う。

そもそもこのXXX Residentsというバンドの音は本家Residentsの音楽を解体&再構築しているのだが。彼らの表現の方向性は本当にはっきりしていなくて、「黒」とも「白」ともとれる究極の曖昧=「グレー」色の魔術音楽であると思う。

彼らの紡ぎだす旋律はあえて本筋を外す、アヴァンギャルドそのものと言えるようなポンコツ真面目な戯けた音楽性である。時代性や表現の方向や宗教観などから考えてアレンジをしていく訳だが、彼らのオリジンは果たして、エジプトの太陽神なのか?フリーメーソンなのか?ゲゲゲの目玉おやじなのか?、、、、、簡単に限定など出来るはずも無く。「亜熱帯サウナmeets太陽の眼」的な超曖昧ベクトルに無理矢理決定し笑、意味不明な問題を抱えつつも2009年にリリースした音源を更に現行の2012年サウンドにリアレンジしての参戦となった。


XXX Residents本番では緊縛ボンデージの女性が自転車ごと天井から吊り下げられたり、エジプト的旋律の楽曲では艶かしい女性ダンサー達との絡みもあり。小さなサーカスとしても機能しそうなエクスペリメンタルなショーと音楽は、オープンしたばかりの2日目のメインステージの観衆の口をほぼ9割方アングリさせることとなった。


諸々の都合上全て観る事は出来ていないが、他出演者で気になったのはやはりVincent Gallo!ヴィンテージ機材や民族楽器を取り入れた極上オーガニックなAcid Forkサウンドだった。ギャロの歌声は聖人の如く透き通り〜澄み切った世界観に観客は絶句の侘び寂びTIMEを堪能していた。 他にはオオルタイチの唯一無二といえる日本ならではの「お祭り拍子」の音が素晴らしかった。個人的に数年前に共演した頃のスカムテイストは薄まり、本人によるしっかりとした歌メロディがとてもキャッチーで良音質のトラックとの相乗効果でしっかりと場を盛り上げていた。


 2007年頃から長期にわたりじわじわと続いている3rd Summer of Love的音楽のシームレス化はアンダーもオーバーどちら側にも作用しまくり、もうなんだか訳の分からぬまま新しい音楽が生まれ続けている。テクノロジー時代が示す現在の表現形態はまさに「クラウド的で実態の掴めない不可視&不定形な音」が核になっている様に感じる。ネットとテクノロジーを介し、ハードコアもソフトコアもノイズも民謡も何もかもが個々の特性を取り込んで補完し、更に先の次元へ進化していく。「現在」は常に「過程」でしかないとマジに思うのであります。